映像配信

インディペンデント・イン・アジア:

日本映画との再遭遇


 このオンライン映画上映シリーズは、映画制作の多様なモードにより明確に表現された作家の声の作品集です。プロジェクトのスケールや活動地域において多様性をもったインディペンデント・フィルムメーカーズとのコラボレーションを通して、シンポジウムのトークとの刺激的な対話を促すとともに、コロナ禍の不確かな時代に日本映画をアジアの参照枠に位置づけることを目指します。


 「NUEC exclusive」セクションでは、世界中の国際映画祭で強い印象を与えてきた富田克也と相澤虎之助が率いる映画制作集団、空族(くぞく)の作品特集と共に、トランスナショナルなドキュメンタリー映画作家である羽田澄子による名作を自信を持ってお届けします。羽田の証言ドキュメントは、中国と日本の空間的な境界線を越境するのみならず、現在と帝国期日本の植民地史の間の時間的な境界線をも侵食する優れた作品です。「アジア」の異種混交性と限界を探索する映画集団として知られている空族の初期作品の特集は、彼らの創造的軌跡を振り返る絶好の機会となるでしょう。


 「Haptic Animation (触覚的なアニメーション) 」セレクションは、その肌理(きめ)や物質性、肉体性を基調とした日本アニメーション史のオルタナティブが語りを模索します。ここではデジタルとトランスメディアに傾倒する主流アニメーションでは見過ごされがちな、芸術性や技巧へのこだわりを持ったアニメーション制作の様子を概観することができるでしょう。私たちのセレクションは、その物質性を追求することによりアニメーションの意味の再考を企てる現代映画と、日本のアニメーションの根幹にみられる触覚的性質を示す初期映画の両方をとりあげます。


 「NEXT Generation(新世代)」では、実験的で芸術的なイメージを作り手の主体性を探す手段として用いる若手映画制作者たちに注目します。ここでは、これらの若手映画制作者の想像的な才能と監督たちの芸術的な実験傾向の証ともいえるような作品から、個人の経験と記憶を訊くことへ映画媒体を利用し内奥をみせていくような作品まで幅広くとりあげます。


 最後に「Archival Screening」では、柳下美恵氏によるピアノ演奏を新たに収録した小津安二郎の無声映画『突貫小僧』(1929年)の現存する最長版を紹介します。この22分の断片の旅は、フィルムのフォーマットの多様性やトランスナショナルなフィルムアーカイブ・コミュニティの広がりがいかに映画史の形成を下支えしてきたかを確認するオブジェクト・レッスンになるでしょう。それまで消失したと考えられていた小津の第12作品ですが、1988年には14分の家庭映画版(パテベビー、9.5㎜)として個人蔵から発見され、さらに2015年に新たなシークエンスを含むパテベビー版が、京都のおもちゃ映画ミュージアムに寄贈されました。配信するウェブ版は、2018年ポルデノーネ無声映画祭上映時に株式会社IMAGICA Lab. (旧IMAGICAウエスト)によるスキャンからDCPを作成したロチェスター大学Digital Scholarship Labの提供と、おもちゃ映画ミュージアムのご厚意によりお届けします。(詳しくはジョアン・ベルナルディの制作ノートとRoutledge Handbook of Japanese Cinemaを参照)


 アジアのインディペンデント映画制作の視座から日本映画を再発見する素晴らしい旅をどうぞお楽しみください。(和訳 林緑子)

映像リスト

嗚呼 満蒙開拓団          

羽田澄子/120分/2008

(日本語字幕のみ)


花物語バビロン          

相澤虎之助(空族)/46 min/1997


雲の上          

富田克也(空族)/115分  / 2003


国道20号線           

富田克也(空族)/77分/2007

なまくら刀          

幸内純一/4分/1917


マイリトルゴート         

見里朝希/10分/2018


こがねの花          

大藤信郎/17分/1929


ケアンの首達           

副島しのぶ/7分/2018


鬼とやなり          

副島しのぶ/6分/2019

V=(4/3) πr^3          

魯瑞琪/19分/2020


幸せについて、祖父母との時間          

村上サラ/9分/2020


hikari           

渡辺花/9分/2019



私たちはチャリ乗るのが大好き          

楊璞頼馨/13分/2020



触れ合い          

葉子依 /4分/2019



なぜ私は今ここにいる          

袁鑠涵/15分/2020


突貫小僧          

小津安二郎/22分/1929

(ピアノ伴奏:柳下美恵 上映素材提供のおもちゃ映画ミュージアムで2/22日にライブ録音)

時間

配信期間:3月1日 ~ 13日 (日本時刻)


タイトルによっては、2 週間の一部の期間のみご利用いただけます。

3月1日~7日: 嗚呼 満蒙開拓団

                      マイリトルゴート

3月7日~13日: 国道20号線

                       雲の上

                       花物語バビロン


映像にアクセスする方法

 これらの映像はシンポジウムに登録した方のみ閲覧できます。


 シンポジウムに登録すると、空族の映像を除くすべてのタイトルのパスワードを含む自動返信メールが届きます。研究者と大学院生には,空族のパスワードが記載された別の電子メールが届きます。


 上記の映像リストからハイパーリンクされている Vimeo などのプラットフォームで映像をストリーミングします。映像を開始するには、パスワードの入力が必要です。


About Us

Programmed by the Nagoya University Eizogaku Collective (NUEC)

    The NUEC is an ad hoc collective formed by seven Nagoya University graduate students and associate professor Ogawa Shota. Although we all study cinema in Japan, our members see the concept of “Japanese cinema” very differently. “Approaching Japanese Cinema through Independent Filmmaking in Asia” thus explores how curation serves to stitch together these disparate meanings of “Japanese cinema” and suggest a range of possibilities inherent in the concept through acclaimed, overlooked, and independent films of all genres.

Members (in alphabetical order):

    Christopher CABRERA; FAN Yihan; LUO Xiaoyi; MA Yikan;

    MAO Huiying; OGAWA Shota; WEN Hao; ZHANG Yu